『心の涙拭うもの』
「私はみんなを裏切った!だから、もう・・・いいの」
月明かりが照らす場所。
岩場の上で、シュガーは泣いていた。
今にも飛び降りそうだ。
いや、飛び降りるつもりなのだろう。
岩場は、約70mはある。
つまり、がけと言っても過言ではない。
―――計画が狂ったなんて嘘
―――マドレーヌ先生を助けるためだけに
―――私は・・・大切な物を・・・
―――裏切ってしまったの―――
―――あの後の強がりは嘘なの―――
―――”ごめんなさい”と・・・言いたかった―――
「シュガー・・・」
岩場の下で、帽子と上着を脱いでいる金髪の少女。
レイティアナ
彼女の目には、涙がたくさん浮かんでいた。
その隣にいる、帽子と手袋を外している茶髪の少年。
ヴァルカシン
彼も心配そうに眉をひそめている。
―――名前を呼ばないで
―――もう、私は・・・
―――私は・・・
「どうしたの?シュガー」
―――シン・・・
「降りといでよ。シュガー」
―――レイナ・・
―――うれしいけど
―――けれど・・・・
―――裏切りの代償は、支払わなければ―――
「いけないから」
「?」
「?」
うっかり口に出るシュガー。
言葉を聞いて、不思議がる2人。
そして、シュガーは笑った
―――何のために生きてきたのか
―――分かるはずないのに
―――どうして
―――使命は終わったと・・・思っちゃうのかな
―――本当に、ごめんなさい―――
―――素直じゃない・・・―――
―――私を許してください―――
「すぐに、降りてあげる。だから、二人とも帰って!」
泣き叫ぶシュガー。
二人は驚いて、一瞬言葉を無くしてしまう。
シュガーは、そのまま飛び降りた
長く感じた。
けれど、それは短い。
ほんの一瞬の事なのに・・・
色々と考えられる。
―――もう、逃げてもいいの
―――苦しいから
―――どうしようも無くて・・・
―――悲しいから
―――馬鹿な・・・私と、―――
―――幸せな・・・私は、―――
―――消えていきます―――
奇妙な感覚。
痛いはずなのに、痛くない。
暖かい感じ。
優しくて、柔らかい。
「へぇ〜・・・。君は、クラスメイトに最後を見ていてほしかったんだ。
それで同情を招いて、自分は悲劇のヒロインにでもなろうとしたの。
ふーん・・・。君って、以外と夢を見るんだね」
「違っ!」
ヴァルカシンの低い声と、冷たい目。
さらに、冷たい言葉を耳元で聞いて、シュガーは涙を流しながら顔を上げた。
全力で否定する。
でも、ヴァルカシンの表情に変化はない。
「違うのは君の言葉だよ。
たった一回裏切っただけで、自分の命を消そうとしてるなんて・・・。
君を産んだ親は、相当不幸だよね。
君みたいな愚かな子を産んじゃって」
「違うに決まってるでしょ!いいかげんにして!」
「じゃあ、証拠を見せてよ」
ふいに聞こえた声に、振り返るシュガー。
そこにいるのは、レイティアナ。
「あなたが本当に、仲間を大事に思っていて、
裏切ったのを悔いているならば・・・
他のみんなに示すことなんて・・・簡単でしょう?」
シュガーは、立ち上がろうとすると、何か柔らかい物を踏む。
あわてて足元を見ると、ヴァルカシンの足だった。
シュガーは、自分の状況を確認するように、暖かいものを確認する。
それは、ヴァルカシンが受け止めてくれたのだ。
シュガーはあわててヴァルカシンの上からどく。
「あーあ、こんなことなら、助けなければよかった」
「そんなこと!!」
反論するシュガーだが、ヴァルカシンは聞く耳持たないらしく、
上半身を起き上がらせる。
「謝りも、感謝の言葉も出さないもんね。
反論する暇があったら、証拠を見せてよ。早く」
冷たいヴァルカシンの態度に、シュガーは耐えられなくなり、
宿の方へと走っていった。
「素直じゃないね。シン」
「君もね。レイナ」
レイティアナが差し出した手を握り、立ち上がるヴァルカシン。
二人は、微かな罪悪感を持ちながら、微笑む。
そう、あの態度は全て芝居。
深く息を吐くレイティアナ。
「でも、ちょっとやりすぎだと思う」
「大丈夫。そんなに、シュガーは弱くないよ」
「そうかな?」
「そ。まあ、どういう事をしたのか、明日みんなに聞こうか」
そう。これは、全員がグル。
眠っていると見せかけて、他の4人はきっちりと起きているのだ。
くすりと笑うと、2人は、宿に向かって歩き出した。
*後日*
シュガーは泣きながら謝っていたらしい。
ヴァルカシンとレイティアナは、それだけ聞くと、続きを聞かなかった。
大体想像できるからだ。
―――ごめんなさい!!ごめんなさい!!
―――素直になれなくて、ごめんなさい・・・
―――これからも、一緒に
―――居てもいいですか?―――
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シュガー。火の星1回目クリア
後のお話です。
個人的に、シュガーは強がりっこっていう
感じがしたので、書かせていただきました。
レイティアナが女主。
愛称はレイナで、光属性です。
ヴァルカシンが男主。
愛称はシンで、闇属性です。
レイは光りの意味。
シンは罪という意味で付けました。
何か感じていただければいいです。
背景:Silverry moon lightより